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「誰のためのお土産なのか」3人のお土産屋が考える北海道お土産論

2019.04.10

  • 中井 涼

有名すぎる北海道のお土産「白い恋人」。それに代わる北海道のお土産は今後できるのだろうか?そもそも、お土産はどうやって企画されていくのか?変わりゆく北海道の観光ニーズにどう対応しているのか?

今回は実際に札幌、小樽、釧路でお土産屋を運営する3人に「お土産屋の裏側」について話を伺った。

札幌:北海道くらし百貨店 太田氏
株式会社サッポロドラッグストアー、北海道くらし百貨店事業部にて商品開発、バイイングを担当。

小樽:小樽駅なかマートタルシェ 敦賀氏
1974年小樽市生まれ。地元の丸井今井百貨店などを経て、2015年7月よりタルシェ店長。小樽案内人。

釧路:たんばや 丹葉氏
1978年生まれ、創業48年の株式会社丹葉商会の2代目として、釧路市でお土産店を経営。お土産業界への時代の変化が訪れる中、新たな視点を持って地域の魅力を発信できるように邁進中。

観光スタイルが変わる中での工夫

丹葉 昔は北海道観光といえば団体旅行で、お土産屋は旅行会社と提携してお客さんに来てもらうのが主流でした。しかし、今の北海道観光は車やスマホを使って旅行する方が大半ですし、今後も増えると思います。
流通が発達して、沖縄でも北海道のモノを変える時代になったわけです。一方、増えてきている海外の観光客は、まだまだ団体旅行がメインです。

 

ー北海道観光は、形を変えつつ海外の観光客も受け入れるようになってきたんですね。

丹葉 そうですね。しかし国内外問わず、全ての観光客に共通することがあります。それは、地域に根差したそこでしか買えない・味わえないものを求めること。今や世界中どこでも、インターネットを通じなんでも手に入れられる時代です。だからこそ、その地域でしか買えない地域限定のものが好まれますね。

 

ー地域に根差したもの、ですか。

丹葉 今や、世界中どこでも、インターネットを通じなんでも手に入れられる時代です。だからこそ、その地域でしか買えないなど、その地域限定のものが好まれますね。

(写真:丹葉氏)

敦賀 昔の観光といえば、お土産をどっさり買う方が大半でしたが、最近はコロッケやお煎餅など1つから食べられるような「食べ歩き」をメインにするお店が増え始めています。お土産店ごとの客単価は下がってきています。いろいろなものを少しずつ楽しむスタイルが浸透しつつあるんですね。

 

ー旅行形態の変化とともに、観光地でのお金の使い方も変わってきていると。

敦賀 だからこそ、うちとしては空港や駅では売ってない北海道らしい地域性ある商品を増やしていく必要が高まってきました。小樽は、そのまま新千歳空港に向かわれる観光客が多く、「新千歳空港で売ってないお土産はどれ?」と聞かれることも多いんですよ。
だから定期的に空港に行って、全部のお店を調査してスタッフに伝えています。
「地元の食材をどう使ったらより美味しいのか」お客様に提案していきたいので新商品だけでなく、食べたことのない商品があれば、積極的にスタッフに試食させています。
そのせいでスタッフが少し太ってきているかもしれないです(笑)。

(写真:敦賀氏)

「ライフスタイル」に合ったお土産がある

ーどういったお土産が今、求められているのでしょうか?

敦賀 家で料理を作る機会が減りつつあります。常温のお土産だけでなくレンジで温めてすぐ食べられる商品が人気です。そういった商品が増えていますし、生産者の方も意識し始めています。

丹葉 反対に若者狙いで行けば、いわゆる「インスタ映え」するお土産スイーツはほしいですね。最近の若者はSNS社会になっていて、お土産を買って帰るという文化が薄く、買ってくれない。だから、TwitterやInstagramを使って、若者が買って優越感を得られるようなお土産を開発する必要があります。SNSに最適なお土産を作ることができば、北海道の名物になると思いますね。

太田 北海道くらし百貨店でも、オトナ女子がお土産やプレゼントに買いたくなるような、おしゃれで美味しく、インスタ映えもするようなクッキーの開発なども考えています。

切り捨てない、売れるようにすることが仕事

ーたくさんの商品を開発する段階で、売れそうなお土産かどうかを的確に判断するコツはありますか?

敦賀 あえて目利きはしないですね。こちらが目利きするというよりも生産者が作ったものや作りたいものを「どうやったら売れるか」をみんなで支援することが大切かと思います。

ー売れるか売れないかではなく、売れるようにすると。

太田 そうですね。なにか商品を企画する際には、生産者さんに「何が作りたいですか?」「使ってみたかった素材はありますか?」とお声掛けしているようにしています。その上で、一緒に商品化を考えます。

(写真:太田氏)

丹葉 作ってきた人の思いを聞くことは重要です。ただ、売れるか売れないかも、お店の経営上、確かに大切。
強いて判断基準を言うならば、お土産ですから持ち帰りが楽なものがいいですね。以前、「生魚を売ってくれないか」と相談に来られた方がいて、おしゃれで地元感があったのですが、重いものや常温で持ち歩きできないお土産は売るのが難しい。持ち帰りまで工夫して考える必要があ
ります。

敦賀 同時に、そもそもの価格やパッケージは大切ですね。デザイン料は高い。しかし、素人のデザインでは売れない。ここは葛藤してしまいますね。補助金などを活用して、デザインを頼むケースもあります。

太田 私としては、北海道の文化を作りたいと思っています。多くの作家さんとコラボして商品を作っているのはその理由からです。
最近ではインターネットが発達して、土地が広く安い北海道に移住してリモートワークをする方も増えてきています。
北海道でなにか作りたいと思った作家さんが、そのまま住んでくれるような流れができれば嬉しいですし、そう感じてもらえるような商品を作っていきたいですね。

 

中井 涼

ライター。北海道生まれの静岡育ち。中学・高校と部活漬けの日々を過し、大学進学で念願のUターンを果たす。趣味は、旅行・温泉・スープカレー・演劇。

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